呼吸と身体とエトセトラ

ことこと家ヨガスタジオ(涌谷/泉区)

Yoga 八支則

普段レッスンで身体を動かしているアーサナの練習はヨガの中のほんの一部です。
では他にはどんな要素があるの? という事で、ヨガで教えてくれている八支則をご紹介したいを思います。

下の八つを実践する事で心・身体・精神が調和し、安定した自己を育み、より充実した生を送ることができますよと伝えてくれています。

 

ヨガの八支則

①ヤマ(日常生活でしてはいけないこと)
・非暴力、他者も自分も傷つけない。物質的にも言葉、思考も。
・嘘をつかない。心と思考と行動の一致。
・盗まない。他人の物、時間、信頼、利益など。
・性欲に溺れない。エネルギーの無駄使いをしない。
・貪欲にならない。必要以上に貪らない。

②ニヤマ(日常生活で実践すること)
・清浄。身体と心と環境を清潔に保つ。
・足るを知る。今あること・ものに満足している。
・修行。困難なことに対して熱心に励む。
聖典を読む。真理を知り、智慧を育む。
・大いなるものへの信仰の心を持ち、身を委ねる。

アーサナ(坐法。身体の鍛錬と自然との調和)
身体を動かし呼吸と共に意識を身体の隅々ま送り届けることで、心身が調和されていく。身体の安定が高まる事で心の安定も育まれる。

④プラーナヤーマ(呼吸法、調気法)
プラーナは生命エネルギーのこと、アーヤーマは拡張という意味。呼吸を苦しくなくコントロールすることで、体内の見えないエネルギーを調整し拡張していく。呼吸が安定して落ち着いたものであれば、神経が鎮まり心が穏やかになる。

⑤プラティヤハーラ(感覚の制御)
外側に向いている五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)を内側へと向け、内側の感覚を繊細に感じ取り、内的感覚を高める。感覚が外的対象に囚われることで、欲望が掻き立てられ、感情が揺れ動き、心の平穏が乱される。心を外的対象から開放する。

⑥ダーラナ(集中、集中統一に努力する)
意識を特定の対象物に完全に集中すること。

⑦ディヤーナ(瞑想、集中が持続している状態)
ダーラナが自然と深まり、集中力が高まり心が安定し無心になる。心は開放、静けさ、平安に満たされる。自と他の区別がない意識の状態。

⑧サマーディ(三昧、悟りの境地)
瞑想が深まり、瞑想の対象物である宇宙の精神(神)と一体になる。至高の調和。


ヤマ・ニヤマ・アーサナのなかで

ヤマ・ニヤマは日常生活で心がけることで、自身の内面を整え、他者との調和を育みます。ここが疎かになるとアーサナにも影響してきます。
内面が乱れまくっていれば体を丁寧に扱うこともができません。またアーサナの中でより強さを求めたり、より柔軟性を求めたり、他者との比較での優劣に走ったりと、本来のアーサナの目的から外れてしまいがちです。

とはいえ、完全にヤマ・ニヤマを実践できなければアーサナしちゃいけないのかといえばそんなことはなく(そんなこと言っていたら永遠にアーサナの練習できない)、アーサナの練習を通してヤマ・ニヤマが自然と行えたり、より深まったりすることもあります。

例えば、他の人よりもっと柔らかくなりたいと必要以上の欲を持ち、必要以上に伸ばし怪我をしたとします。そこで何に気がつくか。必要以上に求めたことで自分を傷つけてしまった。
ヤマにある「必要以上に貪らない」が腑に落ちて、結果自分を傷つけてしまうことが起きる、ということを学ぶかもしれません。何かを必要以上に貪ることで場合によっては他の人を傷つけてしまうことも予想されます。

またアーサナは身体と心をクリアに保つための行いでもあります。
身体を動かしてその心地よさを実感することで②のニヤマの清浄が苦なく喜んで行えるかもしれません。
また身体を動かすことは身体という自然の摂理に触れていく事でもあります。身体や呼吸を通して自分の中に在る素晴らしい自然の働きを感じ、存在への畏敬の思いが育まれることで自分も他者も大切にできることもあります。
また呼吸や重力に身を委ねることで体が楽になったり、心が緩んだする体験を通して②ニヤマの大いなる流れに身を委ねる(エゴを手放す)という練習になるかもしれません。

 

長くなりましたので、続きは次回にしたいと思います。

 

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パールシュヴォッターナーサナ
アーサナの練習に(何かに)日々熱心に取り組むことで、その過程で受け取れる恩恵がたくさんあるのです。そしてその恩恵が足るを知るという精神を育んでくれます。
(忘れてしまうことも多々あるけど)