呼吸と身体とエトセトラ

ことこと家ヨガスタジオ(涌谷/富谷)

チャーハンから学ぶヨガ。

 最近は夜もすっかり涼しくなり、鈴虫の鳴き声も近くで聞こえてくるようになりました。夜のクラスでも虫の音が心地の良いBGMになって、リラックスタイムにはもってこいです。東京にいた頃に通っていたヨガスタジオは街中にありましたので、虫の音など聞こえてくるはずもなく、BGMで虫の音の入った環境音楽をわざわざ流している先生もいました。それを考えるとなんて贅沢な環境なのだろう!としみじみと感じます。

 

そう、虫の音が聞こえないだけならまだしも、そのスタジオは中華屋の二階にありましたので、お昼時のクラスなんかはシャバアーサナ(クラスの最後に必ずするリラクゼーションタイム!)の時に、カァンカァンカァン!と鉄のフライパンが鳴る音が聞こえてきます。「あぁ、チャーハン作ってる、、」とこんもりと盛られた美味しそうなチャーハンが浮かんできて、思わずよだれが出そうになります。「いかんいかん、これたただの音、音、、」とあまり環境に意識がとらわれないように自分に言い聞かせるという、素敵な環境でした。

 

最初、そのスタジオでヨガしていてフライパンでチャーハンを作る音が聞こえてきたとき、せっかくのヨガが台無しだな、、と嫌な気持ちになりました。この音さえなければもっと集中できるのに、うるさいなぁって。

でも途中から、そうじゃないなと思うようになりました。

 

ヨガでは、悩み苦しみが生まれるのは、何かを毛嫌いしたり、また逆に何かを求めたりする自分の心に原因があるといいます。これは好き、あれは嫌い、これは良い、あれは駄目というジャッジメントを持つことで、自分が苦しくなる、と。そういった心のものさしが大きければ大きいほど、嫌いものは"許せない!!"になり、好きなものは"もっともっと欲しい!!"と嫌悪と欲望の強度が上がっていきます。

 

"許せない!"が強いほど、それは自分にとってストレスになりますし、"もっと欲しい!"が手に入らないととそれもストレスになります。

 

だから自分の"許せない!"や、"もっと欲しい!"が少なければ少ないほどストレスやイライラも減ってくる。

 

つまり自分の心や思考を調整すれば、ストレスは減っていきますよ~、と。

 

そんなヨガの教えがこのフライパンのチャーハンを作る音から私を解放してくれました。笑

 

だいたい、チャーハンかどうかも定かではない。この時点で妄想です。勝手に美味しいチャーハンと決め込んで、おいしそうなチャーハンを想像するから、集中力が切れる。そして、静けさを邪魔するフライパンの音=嫌! という心の設定がストレスを引き起こす。

 

”静けさ”に執着しなければ、フライパンの音は”邪魔”とは感じなくなります。このヨガスタジオは中華屋の上にあることは変えようがない。であれば、静けさを手放してみる。静かな事を求めなければ、フライパンの音もさほど気にならなくなる。まぁまぁ、音が鳴っていたっていいじゃないか、と心の余裕が生まれる。心の余裕が生まれると不思議な事に、フライパンの音が聞こえてきても、耳に触らなくなってくる。むしろ鉄の音が心地いい。。 そう、”フライパンの音”ではなく、”鉄の音”になる。この違いわかります?  そのうち鉄の音は”金属音”になり、金属音から”音”になり、やがてはただの”空気の振動”として伝わってくる。ここまでくれば悟りの境地にかなり近いのではと思いますが、残念ながら私はまだまだ鉄の音止まりです。

 

今となってはシャバアーサナの時のフライパンの音が懐かしい。。。

 

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